現在のウェブの前に,ザナドゥあり。すべての源は,そこにある。これは,伝説としてしまうには,あまりにも生々しい思想だ。そして,その思想は,遅ればせながら今,姿をあらわにした。
24日午後にカリフォルニア州モントレーで開催されたオライリー・オープンソース大会の席上で,慶応義塾大学客員教授テッド・ネルソン氏は,現在のウェブのアイディアの源ともなったザナドゥのソースコードを公開した。ザナドゥとは,マルチメディアとハイパーテキストによる出版システムであり、情報の世界規模の恒久的保管場所として機能する。このソースコードはUdanaxのサイトから入手できる。
おおまかな流れは,過去記事を読んでください。38年前にハイパーテキストを考案することで,ザナドゥを具現化したテッド・ネルソン。彼は,文中にもあるようにやはり,預言者,であったのかもしれない。現在のウェブはザナドゥの思考と,ネルソン氏のハイパーテキストの要素を大きく取り入れて成り立っている。
ここまでウェブが構築されてしまった中で,ザナドゥが幅を利かせる可能性は少ないが,ネルソン氏による現在のザナドゥ構想には,著作権に関する問題や電子支払いに関するシステムが考慮されており,また揺らぎない情報の確立と,その情報への均一なアクセスという点でも現在のウェブの上を行くものだ。今までザナドゥは,紙の上の理論でしかなかったが,ここで初めて,その姿をあらわにした。将来的に,ザナドゥのコードが,現在のワイヤードのプロトコルに反映されていくことは,確実だろう。伝説は,その時,本当に実現する。
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